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老健リハビリより 『自覚』から『自信』へと

今回、ご紹介するのは当施設に入所されて約7ヶ月になる80代の男性です。

昨年9月に脳出血を発症、左片麻痺となってしまいました。麻痺はかなり重度で生活動作全般において介助が必要な状態です。

 

これまでの人生は、

運転手として長年勤務されており、中でもバスの運転手は35年間続けられ、安全運転を称される『緑十字賞』を受賞されたことがあるそうです。

趣味も多く、

奥様との2人旅行、将棋やテレビでのスポーツ観戦、写真撮影(神戸まつり・岸和田のだんじり祭り・灘のケンカ祭りなど、

各地のお祭りや景色をNikonの300ズーム1眼レフの本格的なカメラで撮っていた、と)。

 

子供さんと遊んだり自転車のパンク修理や車のオイル交換、家の建付けの修理などもご自分でされ、定年後は畑を借りて家庭菜園を始めるなど、充実した日々を送っておられました。

 

 

ところが左片麻痺という障害を負ったことで、

『こんな身体ではもう何もできない』『生きる目的も目標もなくなった』と、

当施設に入所された当初は、今後の人生に対する希望が持てなくなってしまっていました。

 

以前のような生活は難しくても、まだ様々な可能性があり人生を楽しむことができるのでは、と話をしても『もう無理やね』『どないこない言うても半身不随やからどないしようもない』『何かできるようになるかもしれへんと思いたいけど、思うようにならんから思われへん』と、とても頑なでした。

 

そのため多職種間で話し合い、まずは日々の生活の中で出来ていることがあることを自覚して頂く事、そして『まだ出来るようになる事がある』『自分にはまだ可能性がある』とご本人に気付いて頂くことが必要ではないか、との結論に達しました。

                    

リハビリでは立ち上がりや立位保持、移乗動作が安定してできるように、体幹や下肢筋力のトレーニングと、立ち上がり方の練習や立位でバランスをとる練習から始めました。上手く出来ると具体的にご本人に伝え、難易度もあげていきました。また、自分で座り直しが出来るように練習したり、三角巾を自分でつける練習も行ないました。

 

 

生活の場面では、介護士を中心に移乗時の介助が楽だったり、トイレで安定して立つことが出来ると、そのことをしっかりとご本人に伝えるようにしました。

 

 

始めはご本人に伝えても「そうですか・・・」と鈍い反応しか返ってきませんでしたが、

徐々に「前より立ちやすくなった」「できるようになってきた」と言われるように。

 

そこで改めてご自分の変化について話を伺うと、

「今までしてもらってたことが出来るようになってきてる。もっと自分でできることは自分でしたい」「ちょっとは自信ついたね」

と前向きな発言が聞かれるようになり、また、余暇時間の過ごし方についても「何かしたいと思う」と言われるようになりました。

 

ただ、「何をしたらいいかわからない」「何ができるかわからない」とのことだったため、色々提案したところ、➀新聞閲読 ②脳トレ ③詰将棋 をすることに。

【新聞閲読】

【脳トレ】

【詰将棋】

 

『自覚:自分の置かれている状態や自分の価値・能力などをはっきりと知る事』

 

あれほど頑なに「こんな身体になった以上、何もできない」「何かしたいとも思わない」と言われていた方が、今ではご自分から「今日は新聞読むわ」「絵のやつ(脳トレ)しよか」と言われたり、ご自分のタイミングで自室のTVで詰将棋をされています。

トイレやベッドでの移乗動作も「始めは怖かったけど今は方法も分かったし、ちゃんとできている」と自信にあふれた笑顔で言われています!

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